確定申告のシーズンが近づいています。
今回はアパート・マンション経営をするなら
必ず「青色申告承認申請書」を提出して
青色申告をしましょうということを書きます。
最近増えてきているサラリーマン大家さん
向けに書いていきたいと思います。
アパート・マンション経営の税務を知っておきましょう
会社員で不動産投資を
はじめる方が増えています。
いわゆるサラリーマン大家さんですね。
不動産投資をはじめる際に
収支シュミレーションや
融資を受けるための勉強をされると思いますが
税務上の対応も併せて把握しておいていただけたらと思います。
不動産所得の税務
アパート・マンション経営で得た所得は
「不動産所得」として確定申告する必要があります。
会社員の場合は雑所得などがあればそれらと
併せた本業以外の所得が20万円以内であれば
確定申告が不要ですが
20万円を超えた場合は確定申告が必要です。
不動産所得の確定申告の方法は
白色申告と青色申告があります。
そんなに大きな規模ではないからと
白色申告を選ぶ(というか青色申告を
選択しない)方がいらっしゃいますが
その選択は個人的には損だなと思います。
不動産投資をするなら必ず青色申告を
しましょう。
サラリーマン大家さんでも
青色申告を選択することが可能です。
不動産所得は所有する不動産が
✔戸建ての場合は5棟
✔アパートの場合は10室
未満か否かで税務上の取り扱いが異なります。
以下では5棟10室未満の場合
(事業的規模ではない場合と言います)
とそれ以上の場合
(事業的規模の場合と言います)
に分けて解説します。
ちなみに、駐車場の貸付の場合は
事業的規模か否かのはっきりとした
基準がないのですが、
10台を1棟分とみなして
だいたい50台分程度以上ある場合は
事業的規模とみなされるようです。
5棟10室未満の不動産所得の確定申告
5棟10室未満の不動産所得の場合
(事業的規模ではない場合)で
青色申告の場合と白色申告の場合を
比較してみます。
青色申告 | 白色申告 | |
---|---|---|
青色申告特別控除 | 10万円控除 | なし |
損失の繰越し | 3年繰越し可 | なし |
専従者給与 | 事業的規模ではないため認められない | 左記と同様 |
帳簿 | 簡易帳簿でOK (貸借対照表は不要) | 簡易帳簿でOK (複式簿記は不要) |
「青色申告」と聞くと帳簿をつけるのが
大変でしょう?という声を聞きますが
事業的規模ではない場合には「簡易帳簿」
でOKです。
「白色申告」をする場合も「簡易帳簿」は
必要なので、手間は同じです。
簡易帳簿であれば、取引の量にもよりますが
会計ソフトを使うまでもなく
エクセル集計で事足りる場合もあります。
「青色申告」を選択すれば上記の表のとおり
2つの大きなメリットがあります。
ひとつは青色申告特別控除(10万円)を
受けることができることです。
ふたつめは「損失の繰越が3年できる」
ということです。
不動産投資は、初年度に大きな投資をするので
初年度に赤字になることがあります。
青色申告を選択していれば損失は
3年間繰り越すことができる
(初年度に出た赤字と翌年の利益を
相殺して税負担を抑えることができる)
ので大きなメリットがあります。
そのため、弊事務所では
事業的規模ではない不動産所得についても
青色申告をおすすめしています。
5棟10室以上の不動産所得の確定申告
5棟10室以上の不動産所得の場合
(事業的規模の場合)で
青色申告の場合と白色申告の場合を
比較してみます。
青色申告 | 白色申告 | |
---|---|---|
青色申告特別控除 | 最大65万円控除 | なし |
損失の繰越し | 3年繰越し可 | なし |
専従者給与 | 青色専従者給与が認められる | 配偶者86万円 配偶者以外50万円まで 控除可 |
帳簿 | 複式簿記を使った帳簿が必要 | 簡易帳簿でOK (複式簿記は不要) |
事業的規模の場合、青色申告特別控除が
最大65万円となり控除額が増えます。
損失が3年繰り越せるというところは
事業的規模ではない場合で青色申告を
した場合と同様です。
事業的規模になると「青色専従者給与」が
認められるため、ご家族が事業を手伝って
くれている場合には大きな節税ができる
というメリットがあります。
青色専従者給与についてはこちらの記事で
記載していますので、ご興味ある方は
ご覧ください。
ただし帳簿は複式簿記による必要があります。
この場合はエクセル集計で作成するのは
難しいため会計ソフトを使う必要があります。
freeeやマネーフォワードは
不動産所得にも対応しています。
freeeやマネーフォワードのような
クラウド会計を利用すれば簡単に
複式簿記による帳簿を作ることができます。
事業的規模で不動産投資をしている方に
ついても税務上のメリットが大きいため
ぜひ青色申告をしましょう。
青色申告をするために必要な青色申告承認申請書
青色申告をするためには事前に
税務署に青色申告承認申請書を提出する
必要があります。
提出期限があるので、
提出時期に気をつけましょう。
開業届を出していない方は
青色申告承認申請書と一緒に開業届も
提出しましょう。
これらの書類は会社員であっても
提出することができます。
なお、サラリーマン大家さんの場合
扶養している配偶者名義で不動産所得を
申告したほうが節税になるのではと
言われることがありますが
不動産所得を申告するのは
基本的には「不動産の所有者」の名義の方の
所得として申告する必要がありますので
ご注意ください。
まとめ
不動産所得を申告する場合は
事前に青色申告承認申請書を提出して
青色申告をしましょうということを
書きました。
税務上のメリットが大きいからです。
このことを知らずに白色申告を
続けてしまっている方がいるので
不動産投資を始める前に必ず税務の
知識も身に付けていただけたらと思います。
編集後記
税金の話は難しいものが多いですね。
最近は学生向けの租税教室なども
ありますが、もっと義務教育のうちに
税金の知識を勉強する機会があるといいのに
と思います。
ひとりごと
戦いごっこが大好きな次男。
毎朝保育園に行く前に戦いごっこを
挑んできます。
毎回倒される役ですが。
私自身は三姉妹で育ったので
すこし対応に困ります。