給与計算担当者は現在定額減税について
対応している頃かと思います。

とても難解な定額減税制度。
定額減税に対応したシステムを
利用していれば自動で計算してくれますが、
制度の内容を理解しておく必要があります。

定額減税とは

定額減税とは
令和6年度に一人当たり
所得税3万円、住民税1万円が
減税される制度のことです。

減税の対象者は、居住者で、
合計所得金額が1,805万円以下の方です。
(給与収入のみの場合は基本的には2,000万円以下)

所得税は令和6年分の所得を、
住民税は令和5年分の所得をベースに
判定されます。

下記に記述する
扶養の判断の年度も所得税の場合は令和6年、
住民税の場合は令和5年をベースに判定されます。

住民税の計算方法の関係上
判定の年度がずれています。
それだけで、とても煩雑な制度
だということがわかります。

所得税の定額減税

会社の給与計算担当者は
所得税の定額減税の事務処理をする
必要があります。

減税されるのは本人分だけではなく、
「同一生計配偶者(合計所得48万円以下の配偶者)」や
「扶養親族(扶養控除の対象となる親族だけでなく15歳以下も対象)」
の分も含まれます。

合計所得48万円以下というのは、
給与収入のみの場合は給与103万円以下です。

たとえばご本人(3万円)以外に
同一生計配偶者(3万円)、
お子様2人(3万円×2人)
の場合は合計12万円の
所得税の減税になります。

扶養等の情報は前回の年末調整で入手した
「扶養控除等申告書」の情報だけでは足りない
場合があるので、追加で情報を入手する
必要があるか検討が必要です。

なお、所得1,000万円以上の従業員に
同一生計配偶者がいる場合は
「扶養控除等申告書」には元々情報が
記載されていませんが、
定額減税のための情報としては必要なので
追加で情報を入手する必要があります。

所得1,000万円以上の方に
同一生計配偶者がいても
配偶者控除の対象にはならないが
定額減税の対象とはなるためです。
間違いやすいので注意が必要です。

所得税の定額減税の反映方法

所得税の定額減税を
給与計算に反映させる方法は
「月次減税」と「年調減税」に分かれます。

ざっくり説明すると、
「月次減税」で各人の定額減税額分を
6月支給以降の給与・賞与から控除する
所得税から控除し、
引ききれなかった場合等は
「年調減税」で調整するイメージです。

細かい手続きについては
こちらをご確認下さい。

月次減税の対象となるのは
2024年6月1日に会社に在籍している
「甲欄」の従業員です。
6月2日以降の入社の場合は
「月次減税」はせず、「年調減税」で
減税をすることになります。

減税額が控除しきれなかった場合

令和6年に支給された給与・賞与から
減税額が控除しきれなかった場合、
差額分は1万円単位で市区町村から
現金給付が行われる予定です。

差額が数千円でも1万円に切り上げらて
支給されるため、実際の支給額は
少し多くなる場合がありますね。

給付は2回行われるタイミングがあります。

令和5年の所得で判定して
定額減税で引ききれないと
見込まれる方には2024年夏以降に、
令和6年の所得で定額減税を
実際に引ききれなかった方には
2025年の支給となる見込みです。

いずれも給付額は市区町村の担当者が
計算して給付額が決まり、
市区町村から通知書が届くことになると
思います。

個人的には、
とても煩雑な判定&計算が必要なため
計算ミスが起きてもおかしくはない
と感じます。

ご自身の所得税が定額減税額を
超えないと判断される場合は、
市区町村から届く給付額の通知書が
合っているかどうかきちんと
確認した方がよいかなと思います。

住民税については

住民税については、市区町村から届く
「特別徴収税額決定通知書」をもとに
住民税の特別徴収額を給与計算システム
に登録すればよいので
手続きとしては例年と変わりません。

減税額は市区町村が計算して、
減税後の特別徴収税額が通知書に
記載されているためです。

※市区町村のシステム対応が
間に合わなかったのか
令和6年6月の特別徴収額は0円となり
令和6年7月~令和7年5月の11ヶ月分の給与で
「(定額減税後の住民税)÷11」を住民税として
給与から控除することになります。

まとめ

今回は給与に関する定額減税について
まとめました。
より詳しいことは国税庁の特設サイト
ご参照ください。

編集後記

給与計算担当者や市区町村の事務作業が
とても煩雑になる定額減税の制度。

なぜこんな制度になってしまったのか…。
小さな会計事務所だとすぐに通る方針変更も
大きな組織だと難しいのですね。

多くの方が定額減税の恩恵を感じられるといいのですが。