前回の記事では個人事業主が
法人化するベストなタイミングについて
当事務所なりの意見を書きました。
法人化には色々なメリットがありますが
もちろんデメリットもあります。
今回は当事務所が考える
法人化のデメリットを7つ
個人事業主と比較する形で
簡単に書きたいと思います。
法人化をした後に後悔することがないように
以下のようなデメリットも考慮したうえで
決断していただけたらと思います。
社会保険に加入しなければならない(メリットにもなり得ます)
法人化した場合は
社会保険に強制加入となります。
社会保険に加入すると、
将来受け取れる年金は増えますが
掛金の負担も大きくなる場合があります。
※「メリットにもなり得ます」というのは
将来受け取れる年金が増えるためです。
項目 | 個人事業主 | 法人化 |
---|---|---|
年金の支払 | 国民年金に加入 料金は定額です (令和4年度は月額16,590円) 扶養家族が多い場合は、扶養家族分の支払も必要なので負担が大きくなります | 厚生年金に加入 料金は給料の額によります (令和4年度は会社負担分も合わせると18.3%) 社長からみると会社負担分と個人負担分の両方を負担する必要があり負担額が大きくなります |
年金の受取 | 基礎年金しか受取ができません (令和4年度の基礎年金は月6万5千円程度です) | 基礎年金と厚生年金の両方を受け取ることができます (厚生年金の受取額は給与によって変わります) |
健康保険の支払 | 国民健康保険に加入 均等割+所得割 令和4年の岡崎市の場合は所得割5.88% | 健康保険に加入 (主に協会けんぽ) 令和4年の愛知県の料率は9.93%(介護保険除く) |
扶養家族の数や給与の額によって支払額や
将来受け取れる年金の額が変わります。
どちらがよいかは状況によりますので、
法人化を検討する際には税負担とあわせて
社会保険のシュミレーションも
する必要があります。
なお、現状のご自身の年金記録や
将来受け取れる年金額は「ねんきんネット」
で調べることができるので一度
ご確認いただくのがおすすめです。
また社会保険に加入すると
事務手続き面で手間が増えるので
注意が必要です。
- 社会保険に加入するための手続き
- 毎年社会保険の算定基礎届を提出
- 給与計算(社会保険料料率の更新)など
これらの手続きをご自身でやらない場合は
社会保険労務士や会計事務所に
依頼する必要があります。
給料を自由に変えられない
法人化した場合
社長の給料は自由に変えられません。
社長(役員)の給与は
決算が終わってから3ヶ月以内に、
年に一度だけしか変更できないと
決められているからです。
個人事業主の場合は、
稼いだ金額の中から自由に
生活費等をおろすことができますが
法人化した場合はそのようなことができない
(できることはできるが避けた方がいい)
ため、法人化する前にはそのシステムに
慣れるために事業から毎月一定額おろす
ということをやってみることがおすすめです。
税務調査の頻度があがる
税務調査は、
法人では3%、個人事業主では1%の
確率で入ると言われています。
個人事業主でも税務調査がないわけではない
ですが法人化すると頻度があがります。
税務調査が入ると対応するための時間が
必要となり、また税理士に立ち会いを依頼する
場合は報酬支払が発生したりとなにかと負担が
かかります。
赤字でも税金がかかる
個人事業主の場合は赤字であれば
税金の負担はありません。
一方法人の場合は法人住民税の均等割
があるため赤字であっても毎年
7万円程度の税負担が発生します。
設立や移転登録に費用がかかる
個人事業主の場合、新規開業や移転登録に
費用がかかることはありません。
ご自身で税務署に届出を提出すれば
終わりです。
一方法人の場合は、
以下のような費用がかかります。
新規設立 | 登録費用20万円~ +専門家への報酬(専門家へ依頼する場合) |
移転登録 | 登録費用3万円~ +専門家への報酬(専門家へ依頼する場合) |
法人用の銀行口座は基本料金がかかる場合がある
金融機関によりますが法人用の口座は
年数千円の基本料金がかかる場合があります。
どの金融機関を利用するかは
基本料金、振込手数料、
オンラインか否か、融資相談のしやすさ
など色々なことを考えて検討する必要が
あります。
決算が煩雑になる
個人事業主の場合は
知識や時間があればご自身で確定申告を
することができることもあります。
一方法人の場合は
法人税の知識が必要となり
作成する書類も増えるため
ご自身で決算をするのは難しくなります。
そのため税理士に依頼することが
多いのではないでしょうか。
法人の税理士費用は最低でも年30万円から
というところが多いため、
その費用を負担してもよいと思えるように
なるのも法人化のタイミングとして
必要なことかもしれません。
まとめ
今回は個人事業主が法人化した場合の
デメリットを7つ書きました。
法人化する場合は税負担、社会保険料の負担
だけではなく事務負担等さまざまな側面を考え
デメリットよりもメリットが上回ると思った
時にするのがおすすめです。
編集後記
事業をするということは
その方の人生がかかっていることなので
いろいろな側面からシュミレーションして
できるだけご自身に合った
よい選択をしてほしいと思っています。
ひとりごと
冬休みからポケカにはまっている長男。
一回はまると色々と大変そうなので
なるべく遠ざけていましたが
ついにその時がきてしまいました。
すこしずつカードがたまってきて
いるので収納方法を検討中です。